前提事項
別の記事でも紹介している通り、『システムエンジニア』と一口に言っても、その業務内容は企業や所属によってまちまちです。
なのでここでは話の前提として、いわゆる『SIer』勤務のシステムエンジニアを対象にしたいと思います。
SIerは “エスアイヤー” と読み、System Integrator(システムインテグレータ)の略称です。
お客さまの業務課題を解決すべく、情報システムの分析・企画・設計・構築・運用などの業務を請け負う企業のことです。
“システムエンジニア” と同様に “システム会社” という言葉も非常に曖昧かつ幅広い意味を持ちますが、一般的にシステム会社と言ったら『SIer』のことだと思っていただけたら8割がた間違いありません。
理系と文系、どちらの学生に適正があるか
結論から言うと差はありません。
いやいや、ホントに。
- IT業界なんだから、どう考えたって理系の領分でしょ?
- プログラム1つ組んだことのない文系の学生に務まるわけがない!
等と思われる学生さんは多いかもしれませんが、職歴20年の現役SEから見ても本当に差はないと感じています。
実際に私の勤め先では、同期の中で理系・文系の比率はちょうど半々くらいだったんじゃないでしょうか。
もちろん、学生の頃に情報システムを専攻していた・プログラミングをしまくっていた等のバックボーンがあると、入社後の新人研修くらいまでは俺TUEEE!できます。
先輩講師の話を聞いていても『んなこと知ってるよ・・・』って感じですし、隣で受講してる文系出身の同期が悪戦苦闘していようものなら『くそザコじゃんwww』等とイキれることこの上もないでしょう。
ただし、そこまでです。
新人研修と配属先でのOJTが終われば、そこから先はほぼ同ラインからのスタートだと思っていただいて差し支えありません。
プログラマーとして大成したいなら、数学的な素養はあったほうがいいでしょう。
統計処理やAI(人工知能)の開発を行うならば、それは必須になるかもしれません。
でも、逆にそのくらいじゃないですかね?
プログラミングは、システムエンジニアに必要とされるスキルの1つに過ぎませんから。
ITに詳しい=有能なシステムエンジニア、とは限らない
個人的には、ここがシステムエンジニアの面白いところであり、実際に働いてみないと分からないところだと思ってます。
よくいるんですよ、この業界には。
ある特定の技術領域に関してはほとんど趣味のように勉強しまくって、もはや知らないことはないっていうくらい知識の深い人が。
でも、そういう人が有能なシステムエンジニアかと言えば、必ずしもそうとは限らない。
知識はあるけど頭でっかちで、現実を見てくれなかったり、協調性がなかったり、上司やお客様への報告・説明は下手くそで要領を得なかったりする。
有識者がみんなそうだと言ってるわけではなく、中にはそういう人もいるっていう話です。
ITに詳しいことも、有能なシステムエンジニアの1要素にしか過ぎません。
たとえば、あるお客様に相談されて会計システムのパッケージソフトを導入することになったとしましょう。
候補となるのはA社ソフト、B社ソフトの2種類。
A社ソフトは非常に品質が良くて評判なのですが、そのぶん高価格なためお客様の予算に収まらない。
かつ導入に長時間を要するので、これまたお客様に提示された期間内の完了が難しいと思われます。
一方でB社ソフトは品質も価格もそれなりで、導入期間も比較的に短く済みそうです。
このため現実的にはB社ソフト一択なのですが、わが社の有識者Zさんは『絶対にA社ソフトじゃなきゃダメだ!』と言い張ります。
それは何故かということをZさんは説明するのですが、話す内容は非常に細かくディープな技術論ばかりでお客様にはチンプンカンプン。
しかもよくよく聞いてみれば『A社ソフトのほうが良い』ということを言っているだけであり、『B社ソフトではダメ』という話では全くない。
さっさとB社ソフトに決定して作業に取り掛かればよかっただけのところ、Zさんのせいで結果的に無駄な時間を過ごすことになってしまった・・・と。
ものすごく極端かつザックリとした例え話ではありますが、これに近いようなことが私の経験上は何度かありました。
結局、必要とされる素養って?
諸説あります。
個人的には以下の5(+1)つだと思っています。
- 知識量
- ロジカルシンキング
- 文章力
- コミュニケーション能力
- 慎重さ・几帳面さ
- 語学力
それぞれの内容については、引き続き後編で説明いたします。
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